『魚が存在しない理由』 ルル・ミラー ★★★★★
『魚が存在しない理由』 ルル・ミラー
評価
★★★★★(評価額1200円~1500円レベル)
この本の単行本の実際の定価は2,100円+税。デイヴィッド・スター・ジョーダンという学者の評伝と著者の人生が織り交ぜて書かれたノンフィクション。
デイヴィッド・スター・ジョーダンはスタンフォード大学の初代学長で、2,500種以上の新種の魚を発見した偉大な業績を残した人物でありながら、彼の自伝や著作は未邦訳が多く、日本で彼のことを知れる機会は少ない。そんな中で彼の人生を知ることができる数少ない日本語の書籍として本書を手に取る価値は大いにあると思ったため★★★★★とした。
ただの評伝にとどまらず、人生の意味や「分類」がもたらすものについて考えることができ、ドラマチックな文章で読者を退屈させない一般向けの教養書として良い本だと思った。
ただ著者の人生を振り返るパートがかなり多く挿入されるのは読みやすくなる点はプラスとは言え読む人を選ぶかもしれない。
あらすじ
著者がデイヴィッド・スター・ジョーダンという分類学者の人生を追い、自分の人生を見つめ直すノンフィクション。
著者ルル・ミラーは幼少期に父から「人生の意味はない」と言われ人生に消極的になり、家庭や学校での問題もあり鬱々とした学生時代を送る。大人になり彼氏ができて長年付き合うものの、著者の浮気(女性同士の恋愛関係)をきっかけに破局。人生の意味を見失いどん底の著者は、数々の苦境を乗り越え偉大な業績を残したデイヴィッド・スター・ジョーダンという学者の人生を追うことで自分の人生を前向きに生きる手がかりが見つかるのではないか、と彼について調べることをライフワークとするようになる。
感想
・デイヴィッド・スター・ジョーダンについて
私はこの学者について全く知らず、途中でスタンフォード大が出てきたところで、スタンフォード大の初代学長と知り驚いた。
日本で言ったら野口英世や渋沢栄一くらいにはアメリカでは偉人として扱われる人だろうに、日本ではほとんど著作は邦訳されておらず、全く知名度はない。
しかし、本書で知ることができる彼の人生は波乱万丈で、小説やドラマにしてもある程度面白くなりそうなほど魅力的な人生だ。学者としての成功、家族の死、火災や地震での被災、成功の裏に潜む殺人容疑…。著者が彼をテーマに一冊書きたくなるのもとても頷ける。著者のドラマチックな描写も相まってだと思うが、エンタメ性のある偉人伝として楽しんで読んだ。
・欧米人ならではの語り方
この本の構成は英語の語りの傾向が影響してうまいこと自然にまとまっていると感じた。
最近ブログで書評を書くために勉強しようと思い『物語論 基礎と応用』(橋本陽介 著)を読み、その本では、西洋の言語は常に状況の外に視点をおいて語ろうとするのに対し、日本語は状況の内部に視点をおきやすい言語であることが書かれていた。日本語では主語が語られない場合があるのもこの語りの傾向のためらしい。
英語では自分のことを語るにも必ず主語を入れて客観的に物事を語る。この本では、著者が自分の人生を書きながらジョーダンの人生についての評伝も記述しているが、英語の客観的な語り方の傾向があるからこのような書き方が上手く自然にできているのではないかと感じた。
日本人がこの本と同じように偉人の伝記と自分の人生を織り交ぜて書いたら、自分語りの部分がいやらしく感じられるのかもしれない。
『プライベートな星間戦争』 森岡浩之 ★★★
『プライベートな星間戦争』 森岡浩之
評価
★★★(評価額500円~700円レベル)
この本の単行本の実際の定価はAmazonで1,771円(税込)。スペースオペラな話で、本気のSF好きには物足りないかもしれないが、SFラノベと思えばまあまあ楽しんで読める。読んで損するほどつまらないわけではないが、突出して面白い!とも言い辛いレベルの買っても買わなくてもどちらでも良い本かなと思ったので★★★。
あらすじ
(ネタバレがっつりあり)
人類がテクノロジーの力によって、仮想現実で過ごすようになり人間の魂と仮想現実を生み出すPCの塊は一体となり「半神」と呼ばれるようになる。半神が宇宙を漂うようになった近未来、人工子宮から生まれ得体の知れない「悪魔」と戦うことを運命づけられた人間である天使たちは悪魔との決戦に備えていた。第一部と第二部で別の人物が主人公になる。
第一部
宇宙のとあるところに「天使」と呼ばれる人間のゲノムを編集して人工子宮から生み出された人々が住んでいた。そのうちの一人、エスクという少年が主人公。
「天使」は同じく人工子宮から生み出された「悪魔」との決戦に日々備えている。
ある日、突然「悪魔」の襲撃が始まり、エスクたちは自分たちの住んでいた天使城(天使の住む宇宙船)が破壊されてしまう。別の天使城に逃げ延びたがそこで「悪魔」との全面戦争の開始が告げられる。
エスクには母と姉三人の家族がいたが次々に殺され、最終的に母が敵側に乗っ取られ、エスクは上位の天使に体を乗っ取られ、エスクは母親を殺してしまって、さらなる敵の攻撃で彼自身も倒れてしまう。次に目覚めると白い空間の中にいて、どこからか男性と女性が現れ彼に話しかけようとする。
第二部
人類は地球外の惑星や小惑星にコンピュータを張り巡らせて、そのコンピュータの中の仮想現実で生活するようになっている。仮想現実の住人のひとりであるススムという男が主人公。
ススムは仮想現実のモブの一人を「姉」として一緒に生活をしている。彼は、姉がモブから自我を芽生えさせて姉自身の人格をもつ人間になることを願う。ある日姉は自我を芽生えさせ、ススムは喜ぶが、その日に姉と一緒に参加したイベントでデータ汚染が発生し、ススムは間一髪、別の戦艦にデータを移され難を逃れたが、自我の芽生えた姉のデータは消されてしまう。
ススムは姉の「死」がショックすぎてデータ汚染の原因を憎み、原因が別の惑星マムタだと突き止める。しかし惑星マムタの周囲には防衛体制が敷かれていた。それが第一部の主人公たちの天使城だった。天使たちとの戦いで、ススムは天使たちを救いたいと考え、戦った天使の魂を仮想現実に保存。そのうちの一人だった第一部の主人公、エスクを目覚めさせ、ススムはエスクとコミュニケーションを取る。惑星マムタ破壊のため協力することになり、なんやかんやで惑星マムタ破壊は成功する。
エピローグ
惑星マムタは破壊されたが、再び人が住める環境になるようテラフォーミングされ、そこで天使たちの生まれた真相が明かされる。その昔、仮想現実ではなくリアルの人間として生きることを正義とする過激派集団の長プリジェという人物が、思想を過激化させすぎて他の住民たちから恐れられて惑星を追い出された。その後プリジェはススムの住む戦艦へのデータ汚染を行ったのだった。(描写があやふやでよくわかんない…)惑星マムタの住民たちはプリジェの反撃を恐れて宇宙上に天使たちを生み出し防衛線を張った。それが天使の真実だった。
その後天使たちとその子孫とススムは惑星マムタで幸せに暮らしましたとさ。
感想
・各部の感想
第一部はファンタジー感が強めで、天使たちの戦いの描写もハラハラドキドキで面白かった。
しかし第二部は仮想現実のことを説明する独自の用語が多く理解が難しく、このあたりが読む人を選ぶ要因になるだろうなと思った。適当に難しいところは読み飛ばして楽しむのがSFなので、難しいところはバンバン読み飛ばしていくことをオススメしたい。
なんやかんや惑星マムタの破壊まではスリリングな展開が続き飽きずに楽しめた。
一番ひっかかったのは終盤とエピローグで、この段階で初めて出てくる登場人物や独自の難解用語が多すぎて、事の真相をあまり理解できなかったしそのせいで感動が薄らいでしまった。
・仮想現実設定に頼りすぎ
仮想現実は発話なしで大量の情報を理解できるという設定なので、その設定を使って、大事な場面の説明を端折っているような所があった。一冊に収める尺の都合なのか、作者の描写力不足なのか気になった。エスクが仮想現実に来たときはどのように説明をしたのかもっと説明が欲しかったし、第一部の主人公と第二部の主人公の交流の場面が「いっぱい話し合いをした」の一言でかなり端折られているような感じで仮想現実設定に頼りすぎ。もっと二人の交流を深く描写して、エスクの家族への愛とススムの家族へのドライな考え方を対比させて会話させればもっと良かったのにと思った。
・ススムの姉について
全体的には面白かったが、一つ気になったのがススムの姉の結末で、ススムは最初あんなに「姉、姉」言っていたのに、いざ姉が死んだらそのあと姉はほぼ出てこなくなって話が終わるので、「姉」の復活はもういいのか?姉への気持ちはどうした?となった。
『成瀬は天下を取りにいく』 宮島未奈 ★★★★
『成瀬は天下を取りにいく』 宮島未奈
評価
★★★★(評価額800円~1100円レベル)
この本の単行本の実際の定価は1,550円+税。2024年本屋大賞受賞作品。誰が読んでも楽しめる青春小説。内容はエンタメとして楽しく読めるがライトなので、文庫で軽い気持ちで手にとって読むくらいが丁度いい作品ということで★★★★。
あらすじ
変わり者の女子高生、成瀬あかりの活躍を周囲の人々の視点から語る話。
(人気作なのであらすじは多く書きません。)
感想
・構成の良さ
成瀬が自分の感性に正直に生きているのがステキとか地元愛とか青春感が良いとかのありきたりの感想は他所の人が沢山絶賛しているので、わざわざ書きません。が、そういう意見には同意。
私がこの作品が面白いと感じた理由は、成瀬という主人公を魅力的に見せる構成をしっかり組んでいたからだ。メインキャラの成瀬は割とクールで感情の起伏が少ない人間なので彼女の視点で一冊書くと、淡泊な感じになって読者が飽きてしまったり、突拍子もない言動なので読者が「え、なにこいつ」と主人公と距離を感じて物語を追うモチベーションを下げてしまう。
成瀬の周囲の人の視点から彼女を描くことで、まるで喫茶店の隣の席で知らない客が「うちの学校に変なやつがいてさぁ」という世間話を盗み聞きしているような感覚で「どんな人なんだ?」と読者からの興味をかきたて楽しんで話を追えるし、彼女のキャラを読者も客観的につかみやすい。
物語では、主人公の一人称視点や主人公目線の三人称が多いけど、必ずそれが効果的なわけではない。主人公目線から語る場合、読者は「この人物に共感できるのか?」という考えが自然と出てくるので、突拍子もない変人キャラの主人公視点から語る場合、共感できずに読者はストレスを溜める。
変人キャラ主人公の時は、一般読者の感覚に近い周囲の人目線で語るほうが共感を得られて面白い話になる。ホームズだったり探偵ガリレオだったり涼宮ハルヒだったりも周囲の人間視点で語ることでメインキャラを魅力的に見せている。
成瀬という変わり者を効果的に魅力的に見せる構成を作り上げたことがこの本の面白さの理由であると思った。
そうして周囲の人間視点で成瀬すごい!を書きまくって、最後の章にて成瀬視点からの話になることで、成瀬に対しての興味をしっかり醸成した状態で彼女の内面を明かし、これまでの突拍子もない言動の答えを提示することで、読者が納得感や理解できた気持ちよさを感じることができるようになっているのである。
『小説』 野崎まど ★★
『小説』 野崎まど
評価
★★(評価額100円~400円レベル)
この本の単行本の実際の定価は2,145円。正直定価で買うほどの本ではない。単純にもっとページ数が多かったり、内容が充実して面白い本があるのでそっちにお金出したほうがいい。「小説」というタイトルでも小説の楽しさを感じさせてくれる本ではなく説教臭い本。
装丁がギラギラして凝っててカッコイイのでそれで高いのかと思ったらkindle版もほぼ同じ値段だったので驚いた。kindle版はもっとオススメしない。
装丁がカッコイイから表紙向けて本棚に置いといてインテリアとしては使えるかも。
装丁デザインと「小説」というテーマに関する考えはちゃんと書いてあったので★★にした。
あらすじ
読書好きの少年内海が読書以外のことを何もせずニートになって、小説家になった友達から「小説を読む意味」を教えてもらう話。
感想
・主人公について
(結末ネタバレ含みます)
主人公の内海が小説読むのが好きなだけのなんの努力もしない人間なので全く魅力を感じず、魅力的でない主人公の話は読み進める気力がだんだん無くなってくる。自分で「小説は読むだけじゃ駄目なのか」と疑問を提示してわめく割に、自分で小説を書いてみるでもなく、自発的に文学や哲学を勉強するわけでもなく、ニートやって趣味を楽しむだけで、主体性が全然無いので、この人観察してて面白いですか?って感じだった。
自分の大好きな趣味のことくらい自分で熱く追い求めたらいいのに、結局、小説を読むことに対する答えを努力して見つけてきてくれるのは外崎。
最後に外崎(髭先生)から答えをもらって何も頑張ってない内海に涙されても全然感動できなかった。
こんな主人公に振り回された外崎が最後哀れに思えてきた。
まぁフィクションだし、この登場人物たちの人生とか無いしどうでもいいんですけどね。
・勝手に否定されて肯定される
小論文で全然書けない内海の内心を書いて(p.105あたり)「お前の精神に貸したものを返せ」なんて書いて、「そこの読んでるだけで何も生み出してないお前!受け取るだけなんて駄目だぞ!」と〈読んで楽しむだけの人〉を勝手に否定してくる。「お前もそう思うだろう?罪悪感感じるだろう?」と勝手に罪悪感を押し付けられる。というか締め切り追われて書けなくてストレスたまった著者からの八つ当たりされてるように思えてくる。
それで最後には「小説を読むのは意味を増やすことで、それは宇宙の自然の摂理だからいいんだよ」と勝手に偉そうに肯定してくる。
他のレビューを見るともっと読書家の方々は「読んでるだけじゃ駄目なのかも」と感じることが多いらしい。でもそこまで考えるのって、小説家かよっぽどの読書家だけでたいていの一般人にとっては小説読むなんてただの趣味。
ほとんどの人は別に「読むだけじゃ駄目なんだ」と思ったことはないだろうし、この本に肯定されなくても勝手に読むだけ読んで楽しむよね。そういう楽しむだけの人が大勢あっての小説家でしょう。勝手にお前の罪悪感とストレス押し付けてくんなと思った。
・宇宙の例え、面白くない
小説を読むことは宇宙の原理に近しい、みたいな例えで説明してくるけど、正直「宇宙」って何の例えでも使われるからありきたりだなと思った。宇宙って例えるだけでその対象が壮大ですごいものに感じられるからね。
この本でいう「物語の創作」みたいな人間の原始時代からの行為が宇宙のことに例えられるって言うなら「料理は宇宙」でも「服飾は宇宙」でも言えるじゃん。
他の作家でも宇宙について調べて思いついたら書けそうな例えだったから、この本だからこそ得られた発想とか観点とかのインパクトを感じなくてこの本の価値を感じなかった。
このブログでの評価基準
このブログでの評価基準
その本が単行本1500円で販売されていると仮定して評価します。
★★★★★…1200円~1500円(単行本新品で買う価値あり)
★★★★…800円~1100円(文庫化されたら買ってもいいかな)
★★★…500円~700円(中古で買えばいい)
★★…100円~400円(ワンコインくらいなら…)
★…0円~100円(お金出して買わなくていいゴミ)
評価するポイント
内容の充実度、エンタメ性、文章が魅力的、登場人物が魅力的、新しい発見、共感、独自性
減点するポイント
内容が薄っぺらい、独自性がない・ありきたり、矛盾がある、ストーリーを追いたくならない
ブログをはじめたきっかけ 本の愚痴大会
「あー、この本面白くない!!」
本広げてyogiboに突っ伏しながら、旦那に愚痴る。保育園児の息子もおもちゃいじりながらこっちを見ている。
本はほとんど読まない旦那は「なんでそんなに面白くないのに一生懸命読んでるの?」と聞いてくる。
「だって本屋で○○円もしたんだよ!高かったんだから読まないともったいない!…それなのにこの本!○○ページしかないし、こういうところが面白くなくて…(怒)」
私の本への愚痴大会のはじまりはじまり…。
でも、読み終わってAmazonやら読書メーターやらブロガーのレビューなんか見たら、大抵の本は高評価で批判的な意見は数件しか見かけない。
私はいつも映画やドラマよりは、文字でストーリーを追うほうが好きで、時間制限がなくて本のほうが内容が充実している気がするので読書するけど、モヤモヤすることが多い。「本のレビューって批判的な意見めっちゃ少なくない?」「この本をこの値段で読む価値あるの?」と。こういう疑問に答えてくれるところは探してもなかなか見つからなかった。ならば自分でやってみるまでだ。
・本のレビューについて思うこと
本のレビューって皆、好意的すぎだと思う。私はYouTubeで映画批評の動画をよく見るが映画批評のレビュアーはざっくばらんに批判的な意見を言っている人もいるし、「クソ映画ランキング!」なんてやっている人もいる。本だってそれぐらいいろんな人がいろんな意見を言ったらいいと思う。
でもまぁ、本は映画の批評のようにいかない理由は何個か思いつく。
まずブロガーとかYouTuberは、本のレビューは直接自分のアフィリエイト収入に結び付くので、レビューした本が買ってもらえそうなことしか言わない。
対して映画のレビューはブログやYouTubeで好意的なレビューをして、見た人が興味を持ったとしても映画館や映画会社にお金がいくだけで、アフィリエイトでDVDのリンクを貼っておいてもわざわざサブスク全盛のご時世にDVD買う人はほとんどいないのでアフィリエイトのためにゴマすったって意味がない。「クソ映画!」とか過激なこと言って人の目に止まったほうが稼げる。
それから映画は多くの人が携わってて責任が分散されるし、ストーリー、俳優、映像と語れるポイントがいろいろあるからボロクソ言ってもフォローもしやすい。「脚本は良くなかったけど俳優の演技は良かった」とか「俳優は微妙だったけど映像美は素晴らしかった」とか。
それと比べると、本(特に小説)は著者が一人で書いてるから批判したらその著者をいじめてるみたいな感じになりやすいし、著者と自分自身と一対一な感じが「偉い先生が書いたんだから何か得るものがあるはずだ、理解できなかった自分が悪かったんだ」と思い始める原因になってとにかく好意的に受け取ろうとする力が働く。
文字で書いてあることから読み取るだけだから語れるポイントが映画より少なくて浮かんでくる感想も少なくなりがちなんだと思う。
こうやって書いて理由はいろいろあるけど、とにかく私は本だって「面白くないものは面白くない!」って言いたい。みんながみんな、いいことだけ言うの面白くない。
・値段に対する価値
またまた映画批評のYouTubeの話になるが、特に小説家の七尾与史先生のレビューが好きで、七尾先生のレビューではいつも「映画料金2000円に対してこの作品はいくら払う価値があるか」を発表してくれる。
それで「本でもこういうの言ってくれる人いればいいのにー」と感じるようになった。新刊の単行本の小説なんか2000円くらいするのに、内容でがっかりして「お金返せ!」と思うことが何度もあった。
お金をケチるなら図書館で借りればいいかもしれないけど、話題の本は何人も予約待ちしてるし、未就学児の子育てとフルタイムの仕事で期限内に読み切って返すのも難しいから買うしかない。電子書籍のサブスクも新刊の本ははなかなか入らないし。
で損したくなくて、レビューを調べたところで前述の理由でざっくばらんに評価してる人がなかなかいないので結局自分の感覚で判断するしかない。
世の中、物価上昇でコスパコスパ言われているのだから、本のコスパが考えられたっていいじゃん。「語彙力が高まる」とか「ストレス軽減」とかそういう効能じゃなくて、エンタメとしてお金を払う価値があるかどうかのコスパを。
誰もこんなブログを読むわけないけど、見た人がゴミみたいな本にお金を払わずに済むようにしてあげたい(何様目線だよ…)



